
オリーブの育て方
細長い葉を茂らせるスッキリとした印象の樹形となるオリーブの木。古くは神聖な木ともされていました。現在でも「平和」「知恵」といった花言葉とともに”幸福を呼ぶ木”として親しまれ、シンボルツリーやお祝い事にも大変人気の植物です。
ここではオリーブの特徴を紹介するとともに、この植物に合った適切な管理について解説していきます。きっと健やかに育てらるでしょう。

原産地
オリーブの原産は地中海沿岸、北部アフリカ、小アジアです。現在でも地中海沿いを中心に盛んに栽培されていますね。ヨーロッパの景色と青い空、そんな風景をイメージされる方も多いのでは?
実際、オリーブはたっぷりと日差しを浴びることが欠かせない植物になります。室内での管理ではなく、できるだけ屋外で育てることが望ましいです。また雨の少ない地域が原産であるように、乾燥した環境を好みます。もちろん生育のためには水やりは欠かせませんが、控えめな水やりが育て方のポイントとなります。

日当たり
オリーブの生育には十分な太陽光が欠かせません。そのため基本的には屋外で管理することになってきます。ベランダ、玄関前、軒先など、風通しがよく十分な日照の得られる場所で管理します。どうしても室内管理となってしまう場合には、南向きの大きな窓辺など少しでも直射日光が多く入りやすい環境を選ぶようにします。
少し注意をしておきたいのは、室内で管理していた株を日差しの強い場所へ移す場合です。オリーブに限らず、室内で長く過ごしていた植物は急に強い紫外線の光に当たると葉が焼けてしまうことがあります。日当たりの環境を大きく変える場合には少しずつ直射日光に当てる時間を増やし、少しずつ慣らしましょう。

水やり
雨の少ない地域が原産地となるオリーブは、水のやりすぎに気を付けることがポイントになります。生育が盛んになる春~秋の頃は土が乾いたらたっぷりを水やりを行いましょう。土の様子を確認して、湿り気が感じられるようなら水やりを控えます。土が乾いたことが確認しにくい場合には、鉢を持ち上げたり触ったりして”軽くなったかな?”と感じてみてください。水分計(水やりチェッカー)を使うのも良い方法です。
水やりをする際には鉢底から余分な水が流れ出るくらい、しっかり与えます。根を痛める原因にもなるため、溢れた水は受け皿に溜まったままにせず捨てるようにします。
気温が低くなる冬はほとんど生長しません。土が乾いて、さらに2,3日後に水を与えます。特に寒い日や夜間・早朝の水やりは避けるのが無難です。
過湿に弱い植物は、土の湿った環境が長時間続く事が負担になります。オリーブなどこうした植物の場合には土が湿ったままにならないよう、しっかり乾いてから次の水やりを行うように意識しましょう。

温度
温暖な地域の出身ですが比較的寒さには強く、-5℃以上が越冬の目安です。そのため関東地方、それより温かい地域であれば屋外で十分越冬可能です。降雪の多い地域では軒下や雪除けをすることで、枝折れや寒さの負担を抑えるようにします。
夏は35度を超えると植物にも苦しい状態となります。日本の蒸し暑い環境では負担も大きくなってしまうため、風通しの良い環境になるように意識し、気温の高い真夏の日中は水やりを控えます。

肥料
オリーブを見栄えの良い姿で育てるためには肥料が必要となります。それはオリーブが代謝で葉を落としやすい性質があり、次の新しい葉を増やすためにはその栄養を補う必要があるからです。
肥料のタイミングは冬の終わりと秋、それに状況によっては夏の前、年に2回か3回です。冬の終わりには春に向けての栄養を補うため(寒肥:かんごえ)、秋の肥料は1年分の生育の疲れを回復させるため(お礼肥:おれいごえ)という目的があります。
夏の前の肥料は花や実をたくさんつけさせたい場合や早く大きく育てたいときなど、状況に応じて追肥(ついひ)をします。
肥料は市販の一般的なもので構いませんが、初春の寒肥はゆっくり効果の現れる有機質の肥料(緩効性肥料)が植物の負担が少なく、このタイプが望ましいです。オリーブ専用に成分調整されたものも市販されているため、こだわって選んでみても良いでしょう。

植え替え・剪定
生長して葉の枚数が増えるとともに、枝が長く伸びすぎたり混み合ったりすることがあります。その際に不自然に伸びすぎた枝を切って整えたり、密集しすぎたところの風通しを良くするよう、枝を切り落とします。
少しの枝葉を取り払う程度であれば真冬を除き適宜作業をして大丈夫ですが、ベストは春の生長が始まる前です。株が充実してくると5月頃~に花を咲かせますが、この花芽が出来た後に剪定をしてしまうと花がなくなってしまいます。全体のバランスを整える剪定は冬の終わり頃に済ませてしまいましょう。
植木鉢で植物を育てていると、やがて根の伸びるスペースがなくなり鉢に根が詰まってしまいます。根詰まりですぐに枯れてしまうことはありませんが、旺盛な生育のためには植え替えを検討します。鉢の大きさや生育環境にもよりますが1~2年が目安です。
植え替えの適期は春~初秋です。温かい時期が植え替えの適期です。オリーブは多くの観葉植物とは異なり少しアルカリ性の土質を好みます。専用の培養土も市販されていますので、こだわって選んでみても良いでしょう。