コウモリランの育て方
羽を広げたコウモリのような姿の葉っぱを持つ不思議な植物。コウモリランはランという名ではあるけれどシダ植物の仲間です。鹿の角にも見立てられる事からビカクシダ(麋角羊歯)という和名を持ち合わせます。
ここではコウモリランの特徴を紹介するとともに、この植物に合った適切な管理について解説していきます。きっと健やかに育てらるでしょう。
原産地
コウモリランは東南アジア~北部オセアニア、マダガスカル周辺地域、南米のいずれも熱帯地域が原産地となります。日本よりも暖かい地域出身ですから、寒さが苦手な植物なんだな、ということが分かりますね。それでも一般的な種類のコウモリランの仲間は比較的耐寒性があり、国内でも室内なら十分越冬可能です。
もうひとつ、コウモリランの大きな特徴は熱帯林の中で他の植物の幹や崖などにへばり付いて生息する着生植物だということ。そのため大きく伸びる葉の他に、株元を覆うような形の貯水葉という葉を開き、そこへ水分と栄養を溜める性質があります。
他の植物とはちょっと違う個性的な観葉植物ですが、育て方は見た目と違って以外にも簡単です。人気の観葉植物として注目されるのにも納得ですね。
日当たり
コウモリランは耐陰性があり屋内でも十分育てられます。それでもやっぱり、力強い生長には明るい光が欠かせません。薄暗い部屋の中では大きな葉も弱々しくなってしまうため、出来るだけ明るい場所で管理しましょう。
真夏の直射日光のように日差しが強すぎると葉が焼けてしまいます。明るい林の木漏れ日が差すような場所が本来の環境ですから、レースのカーテン超しくらいが目安です。普段は日の当たらない場所にしか置けない場合には、週に1,2日だけでも適度な日光浴をさせてあげると良いでしょう。
水やり
生育期となる春から秋にかけては土が乾いたらたっぷりと水やりをします。土が乾いたことが確認しにくい場合には、鉢を持ち上げたり触ったりして”軽くなったかな?”と感じてみてください。水分計(水やりチェッカー)を使うのも良い方法です。
水やりをする際には鉢底から余分な水が流れ出るくらい、しっかり与えます。根を痛める原因にもなるため、溢れた水は受け皿に溜まったままにせず捨てるようにします。慣れないうちはベランダや軒下で与え、水が切れたらお皿に戻すと良いでしょう。
苔玉仕立ての場合には、水苔が乾いたら水を張ったバケツなどに10分程度浸しましょう。吸水したら水気を切って、元に戻します。
コウモリランなど、寒さを苦手とする植物の場合は冬場は水やりの頻度を減らし、与える量も少な目を意識して。そうすることで耐寒性を高めることができます。
温度
熱帯地域が原産のため、暑さには強く寒さが苦手です。品種にもよりますが、一般的な種類では10℃くらいが耐寒温度とされています。屋外で育てることも可能ですが、冬場は屋内で管理する方が無難です。室内でも窓辺は冷え込むので特に寒い夜などは窓から離してあげると良いですね。
夏は35度を超えると植物にも苦しい状態となります。湿気で蒸さると弱ってしまうため、風通しの良い環境となるよう心掛け、真夏の日中は水やりを控えます。
肥料
市販の観葉植物用の肥料を必要に応じて与えます。使用する場合は春と秋、生育の環境がよい時期にしましょう。気温の低い冬や暑い真夏は生育も穏やかですから、このタイミングでは逆に根を傷める原因になるため使用を控えます。量は肥料の商品の説明通りか、薄めでも大丈夫です。
観葉植物は花壇のお花や畑の野菜などと比べて生長は穏やかで、肥料は必ず与えなければならないというわけではありません。早く大きく育てたい場合や、長く植え替えをしないでいて土の栄養が少なくなってきたときに補うなど、必要を感じたら使用します。
植え替え・剪定
コウモリランは株元を覆う貯水葉が自身の生育を助ける働きをします。本来の野生の環境では他の木の幹や岩肌に着生して暮らしている植物です。この貯水葉の内側に腐葉土を蓄えるように生育し、また古い貯水葉はスポンジのように水を吸い、蓄えます。そのため茶色くなった貯水葉も取り除かないで育てます。基本的に剪定は行いません。
また他の植物のようにたくさんの根が長く広範囲に広がるような植物ではないため、積極的な植え替えも必要としません。