植木鉢の材質とその特徴について

植木鉢の材質とその特徴について

お気に入りの植物と暮らすために、その器となる植木鉢は大切な存在です。

皆さんはどうやってに植木鉢を選んでいますか?

まずは大きさ、それからデザイン、あとは耐久性?それとも軽さ?

 

植木鉢をつくる材料にはいろいろな種類があり、それぞれ特徴が異なります。

どの素材の鉢にも良い点、苦手な点があるため、主な特徴を知ることで植木鉢の特徴が想像できるようになるのです。素材の特徴を知り、 植木鉢を選ぶことで満足度の高い植物ライフを送ることが出来るようになるでしょう。

 

 

植木鉢の主な材質は「1.陶器」「2.セメント」「3.プラスチック」に分けられます。

これ以外にもブリキなどの金属、木や石をくりぬいた物など特殊な素材や、最近では土系の材料にガラスの繊維を混ぜた「4.グラスファイバー系のもの」が増えています。

ここでは1~4の種類について詳しく解説していきますが、植木鉢の使い勝手を考えるうえで「1.陶器」は2種類に分けられます。

・つやつや、つるつるのうわぐすり(釉薬:ゆうやく)があるもの

・ざらざら、土の質感そのままのもの ---素焼き、テラコッタ

2種類とも陶器ですが特徴がまぁまぁ異なるため、別々に紹介していきます。

 

 

1-1.陶器(釉薬仕上げ)

つやつや、つるつるした質感の陶器鉢はこの種類です。

茶色い焼き物の素材のうえから釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を掛けてもう一度、窯で焼き上げられます。釉薬の種類によってはツヤがなかったり、マットな質感のものもあります。表面を覆っている釉薬はガラスと同じ成分です。

そのため、この素材の植木鉢は

・長く使っても劣化しにくい(紫外線で色褪せたりしない)
・よく焼き上げられたカッシリした質感

このような特徴になります。

割れ物なので強い衝撃によりヒビが入ってしまうことはありますが、古くなっても見た目はほとんど変わらないため、将来何度も植え替えて使うことが出来ます。

 

(YD011 RR303 RR055)

 

また、表面がガラス質で覆われるので

・湿気を通しにくい、カビやコケが付着しにくい

という点もあります。これは一緒に暮らす私たちにとってはきれい、衛生的、見た目がいい、という半面、中の土の湿気が外に逃げにくい、という事でもあります。

そのため過湿が苦手な植物と組み合わせるときには、”水はけの良い土を使う” ”水やりのタイミングを遅らせる、量を減らす” といった工夫をすると良いかもしれません。

また機能的な特徴以外では、

・見栄えが良い、焼き物らしい外観
・価格が高いものが多い

という傾向もあります。身近に置きたい植物なら、なお見た目にもこだわりたいですね。

 

 

 1-2.陶器(素焼き)

こちらはさっきの釉薬(うわぐすり)がかかっていないタイプの陶器になります。そのため見た目には薄茶色など陶器の土そのものの色の器も多くありますが、素焼き地の上から塗料で着色されたカラフルなものもあります。すると、

・水、湿気を通す =湿気がこもりにくい

という点が大きな特徴になります。

土の素材そのままなので、たっぷり水やりをした後には植木鉢全体がしっとりとした手触りになりますし、ずっと湿っていればカビやコケのつくこともあります。しかし多くの植物にとっては湿りすぎた環境は根腐れの原因になりますし、湿気がこもりにくい、というのは素焼き鉢の大きなポイントです。

 

(文字多いためイメージ画を挟む KT304?)

 

実際のところ、特に大きなサイズの素焼き鉢に直接植えると、どうしても使用後の変色は避けられません。見た目を重要視したいときや、(大鉢など)長く使い続けたいときにはカバーとして使うことになるかと思います。

また釉薬とは違い、カラフルなものはほとんどが塗料での着色になります。それゆえ

・器そのものは傷みにくいものの、色あせはしやすい

という特徴になります。置き場所や使い方で時間の差はあれど、どうしても変色が起きてしまいます。この ”時間とともに見た目が変わるのを楽しむ” というのも素焼き鉢の魅力の一つです。表面に土の粉がまぶしてあり、じっくり風化を楽しむというアンティーク調に仕上げられたものもありますよ。

 

(GP013 GP010など)

 

こうした素焼き鉢の類は釉薬鉢のように複数回焼き上げる必要がないため、

・価格は高すぎず安すぎず

というものが多いように思います。

 

 

2.セメント

ちょっと意外かもしれませんが、セメント製の植木鉢は実はけっこう種類が豊富、特にテーブルに乗せられるくらいの小さいものに多くみられます。陶器と最も異なる点は、焼き上げる必要がないこと。そのため焼き物と比べて少し手ごろな価格のものが多いです。

 

(セメント鉢例 CC003 UN446 UN434 UN441)

 

一方で焼き固められていないため、比較的ヒビが入りやすい、陶器よりも割れやすいような印象です。特に大きいサイズでは強度を確保するために厚手で、重たくなってしまうことも避けられません。

・手ごろな価格のものが多い
・衝撃には弱い(比較的)
・重いものが多い

しかし魅力的なのは豊富な種類とデザイン!細かい模様でも型(カタ)で簡単に作ることができ、本当にさまざまな意匠、凝ったものもたくさんあります。

・細工や着色が自由、豊富なデザイン

もちろん、無地のセメント調でシックなタイプもありますが、着色する場合は塗料での仕上がりになります。その場合は釉薬のように半永久的な発色とはならず、色あせや剥がれは免れません。

・耐久性は高くない

そんなセメント系の素材ですが、主だった材料は”砂”。ということは、材質の特徴として

・湿気を通す(※場合による)

という事になります。植木鉢によっては内側に薄くコーティングがされているものもありますが、それも完全防水にはなりません。基本的には水分を通す素材になります。素焼き鉢と同等とまでは言わないにしても、水の加減によって湿気を帯びたり、色が濃くなったりする特徴があります。

 

(濡れたセメント鉢)

 

 またセメントはそれが固まる過程でアルカリ性となるため、”土と植物に悪影響を与える”といった意見がみられます。が、この点については正直なところ諸説あり、という程度のように感じます。少なくとも著者はセメント鉢を使って”セメントの成分が土に染み出た”と実感したことは無いですし、実際に試した結果をブログなどで公開している方もいらっしゃいます。もしかしてそういう場合もあるかも、と気に留める程度でよいと思います。

 

 

 3.プラスチック、合成樹脂

プラスチックの植木鉢というと、安っぽくて見た目もイマイチ、なんて思われがちですがそんなことはありません。最近ではそう感じさせない見た目のものも増えてきています。

・とにかく軽い、割れにくい
・完全防水


これらはプラスチック製ならではの特徴ですね。日々の世話の事や室内で管理する大きな鉢を検討するときには、やはり大きなポイントになります。衛生面を重視するのであればプラスチック製がお勧めですし、そうでなくても大きな観葉植物はその重さがネックになりますから、管理の手間を考えると軽くて割れにくい点はとても大きなメリットです。

 

(UN001 UN048 UN040) 

 

一方で、プラスチック素材は

・割れないが、劣化はする

とういうのが欠点です。衝撃や湿気には強くても、紫外線や熱には弱いです。屋外ではもちろん、室内でも光の当たり方によっては劣化が早くなります。凝った着色のされているものであれば、やがて見た目が変わってしまうことも頭の片隅に置いておきましょう。

 とはいえ、予算が限られる場合には購入しやすい価格帯となる事も重要です。機械で大量生産される場合がほとんどのため、

・安価なものが多い
・品質のばらつき、個体差が少ない

こうした特徴になります。価格は商品選びで大事なポイントになりますよね! ただし見た目にこだわった商品は何重にも着色が重ねられていたりしますから、そうなると価格はそれなりとなります。

 

(UN023 UN020)

 

また焼き物のような手作り製品では同じ物でも色や大きさが微妙に違ってくることがあります。プラスチック製品ではそうした心配が少なく安心です。

最近では”内側に水を貯められる”など、特別な機能を持たせるタイプも増えてきました。先入観を排除すればプラスチックもなかなか魅力的な材質です。

 

 

4.グラスファイバー系土練り製品

最近見かけるようになった、新しいタイプの植木鉢です。陶器の材料となる粘土(=陶料)にガラス繊維を混ぜ込んで作られています。材質としては陶器とほぼ同じになりますが、成形したあとは焼き上げず乾燥させて固め、着色となります。そんな植木鉢ですから、素焼き鉢のように

・水、湿気を通す 
・色あせは避けられない

という特徴は同じになりますよね。見た目にも土のようなザラつきのある質感、どことなく感じるあたたかみはあるものの、陶器のような引き締まった印象とは異なります。それに焼き上げる工程が省かれるため

・使い方によっては傷みやすい
・焼き物に比べて安価なものが多い
・大鉢でも薄く作ることが出来る、比較的軽い

という点はこのグループの製品らしい特長になります。特に屋外で使用する場合はどうしても劣化は避けられません。特に大きいサイズに直接植えることは加湿になりやすく、加えて重さも大きくなるため、得策ではありません。

 

(UN245 UN208 UN280)

 

一方で、レリーフ細工や組レンガの模様などを表面にあしらう製品も多く、理想的なデザインの器を見つけられるかもしれません。

・凝ったデザイン、造形も可能で種類が豊富

こうした特徴を踏まえると、”室内用の鉢カバーとして使いたい!”というシーンでは特性にあった用途となり、欠点である耐久性を気にせず長く使えそうで、満足度も高くなりますね。

 

 

おわり

どうでしょうか。長くなりましたが、植木鉢の素材の事を考えると、鉢選びは奥が深いなって感じてもらえたのではないでしょうか。

 

 

理想とする条件すべてに当てはまる植木鉢を見つけるのは、とても難しいと思います。

だから一番大切にしたいことを重視して、使うシーンを想像してみてください。

少しを妥協したり工夫することで、目標に到達しやすくなるのではないでしょうか。

一部をあきらめることは、別の一部を大事にするということ。

きっと満足できる植木鉢選びが出来ると思いますよ。

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