
アガベの育て方
アガベは鋭いトゲのある肉厚な葉を堂々と広げる姿が魅力です。「竜の舌」にも例えられることからリュウゼツラン(竜舌蘭)の異名を持っています。トゲの様子や葉の色、株の姿と様々な品種と大勢の愛好家を擁するアガベは人気の観葉植物です。
ここではアガベの特徴を紹介するとともに、この植物に合った適切な管理について解説していきます。きっと健やかに育てらるでしょう。

原産地
アガベの原産地は北米の南部~中央アメリカ~南米北部。メキシコを中心とした温かい地域が原産です。実はテキーラの原料に使われている植物も、アガベの一種なんです。
太陽の日差しをたっぷりと浴び、ガッシリと見ごたえのある姿のアガベに育つ景色が目に浮かびますね。このイメージの通りアガベは暖かい気候と日光が大好きな植物です。生命力が強く耐寒性も持ち合わせていることから、育てやすい植物でもあります。

日当たり
アガベを美しく育てるためには十分な光が欠かせません。日照不足では弱々しい株になってしまいがちです。見栄えのよい姿にこだわるのなら明るい窓辺やベランダで管理するとよいでしょう。
しかしアガベは耐陰性も持ち合わせるため室内で管理することも十分可能です。その場合には水やりを控えめにして風通し良く管理し、出来るだけ徒長してしまうのを防ぎます。生長させるのではなく維持管理する、というイメージになります。
日当たりが大切なアガベの仲間ですが、それでも真夏の直射日光のように日差しが強すぎると葉が焼けてしまいます。強すぎる日差しはレースのカーテンなどで和らげると良いでしょう。また室内で長く管理していた観葉植物を強い紫外線の光に当てると、真夏でなくても葉の色が薄くなってしまうことがあります。日当たりの環境を大きく変える場合には少しずつ光に当てる時間を増やし、慣らすようにします。

水やり
日本の気候では気温の上がる春から秋にかけてが生育期になり、この間は土が乾いたらたっぷりと水やりをします。土が乾いたことが確認しにくい場合には、鉢を持ち上げたり触ったりして”軽くなったかな?”と感じてみてください。水分計(水やりチェッカー)を使うのも良い方法です。
水やりをする際には鉢底から余分な水が流れ出るくらい、しっかり与えます。根を痛める原因にもなるため、溢れた水は受け皿に溜まったままにせず捨てるようにします。慣れないうちはベランダや軒下で与え、水が切れたらお皿に戻すと良いでしょう。暑い夏は気温の下がる朝か夜が水やりのタイミングです。
気温が低くなる冬は生長しません。暖房のない室内など、寒い環境ではじっと耐えていますから水やりも月に1回程度、暖かい日に土を湿らせる程度の水やりで十分です。
葉が厚いこと、茎が太いことからイメージできるように水分を貯えるのは得意な植物です。慣れないうちは水を切らしてしまうことよりも与えすぎに注意するのがポイント。特に秋以降は控えめな水やりを意識します。

温度
温暖な地域の出身ですが寒さには強く、5℃以上が越冬の目安です。窓辺で管理している場合には冬の夜間だけは寒くない場所へ移動させましょう。また水やりを控えることで耐寒性を高めることができます。地域にもよりますが、霜を避けることで屋外での越冬も不可能ではありません。
夏は35度を超えると植物にも苦しい状態となります。湿気で蒸さると弱ってしまうため、風通しの良い環境となるよう心掛け、真夏の日中は水やりを控えます。

肥料
市販の観葉植物用の肥料を必要に応じて与えます。使用する場合は春と秋、生育の環境がよい時期にしましょう。気温の低い冬や暑い真夏は生育も穏やかですから、このタイミングでは逆に根を傷める原因になるため使用を控えます。量は肥料の商品の説明通りか、薄めでも大丈夫です。
観葉植物は花壇のお花や畑の野菜などと比べて生長は穏やかで、肥料は必ず与えなければならないというわけではありません。早く大きく育てたい場合や、長く植え替えをしないでいて土の栄養が少なくなってきたときに補ったりなど、必要を感じたら使用します。

植え替え・剪定
一般的な観葉植物のように葉の入れ替わりがほとんどないため、傷んでしまった部分を切り取ったり取り除く程度です。切り取るときには衛生的なハサミを使用し、厚い葉の切り口から雑菌が繁殖しないよう、断面は風通し良く管理するとよいでしょう。
植え替えをする場合は春~初秋に行います。植木鉢で植物を育てていると、やがて根の伸びるスペースがなくなり鉢は根で詰まってしまいます。根詰まりですぐに枯れてしまうことはありませんが、旺盛な生育のためには植え替えを検討します。鉢の大きさや生育環境にもよりますが1~2年が目安です。
また、アガベは生長とともに土の中で茎が伸び、株元から新しい子株が出てくることがあります。増えすぎて窮屈そうに感じたら株分けに挑戦してみましょう。土の中で親株から延びた地下茎を切り取り、親株をスッキリとさせ、子株は別の鉢に植え替えることでアガベを増やすことができます。